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「証」がある証券化金融商品ならば投資家はある程度安心して購入できます。
需要も増えるでしょう。
一方低リスクの運用を目的とする機関投資家にとっても高い格付けはその証券が投資基準を満たすことの第三者による証です。
高格付けの証券化金融商品へは基準を満たすものとして投資が可能となるのです。
このように証券化金融商品の取引が活発に行われるためには証券のリスクが適切にコントロールされていることが信頼できる第三者によって証明される必要があります。
格付けはそのようなリスクのコントロールの証となります。
この証が買い手のメリットを保証するからこそ目新しい資産がもたらす収益をもとに作られた複雑な支払い金の構造を持つ証券化金融商品を安心して取引することが可能になるのです。
証券化か実効あるものであるためにその中心である債券タイプの金融商品が円滑に取引されるためにリスクのコントロールの証としての格付けは証券化の市場において重要な役割を果たしているのです。
証券化は資産が生み出すキャッシュフローに関するリスクを細分化しコントロールして取引します。
このため従来は限られた人々の間でしか取引されなかった資産からでも証券化によって多くの投資家が安心して取引できる金融商品を作り出すことが可能になります。
この手法を利用してこれまで別の方法で取引されてきた資産を証券として資本市場で広く取引するいわば「証券化の手法を用いた資産取引の直接金融化」が市場では急激に拡大しつつあります。
発端となったのはもちろん証券化の原点である米国のMBS(モーゲージ担保証券)です。
住宅ローンを証券化するMBSは資本市場で投資家に広く売却されます。
貸付けの窓口であるS&L(貯蓄金融機関)や商業銀行にとってはMBSの売却という新しい手段を得て住宅ローンへの資金調達が(そうでない場合よりも)容易になります。
一方貸付けのリスクはS&Lや商業銀行からMBSの購入者である投資家に移転されます。
この結果伝統的にS&Lや商業銀行ばかりが担ってきた住宅ローンへの貸付けがMBSを通じて投資家に直結されることになるのです。
この手法が他の債権に応用されていったことは前述の通りです。
自動車ローン債権やリース・クレジット債権売掛債権のABS(資産担保証券)がその代表例です。
従来リース会社やクレジット会社個々の事業会社が取引の主体であった債権がABSとして証券化されることで資本市場で証券として投資家に売却されそれによって発行者は資金調達の新たな方法を手に入れ同時に貸し出しのリスクを投資家に移転できます。
投資家としてはABSを購入することで従来は投資が不可能であった資産を実質的な対象として投資できます。
このような資金の流れの新たな道筋が証券化によって作り出されるのです。
さらに証券化を「リスクをコントロールして取引する手段」と見なす立場からすれば証券化の手法の適用範囲が拡大されて利用されていっても何の不思議もありません。
事実地震や台風等の大規模自然災害による被害への保険金支払いを対象とする保険リスクの証券化は保険金支払いのリスクを内包させた証券を投資家に売却することで保険会社としてはリスク負担の主体を保険市場から資本市場に移転する一方投資家へは従来参加できなかった保険市場へ実質的に参加する手段を提供します。
またここ数年で急拡大を遂げている気温変動等を中心とする天候リスクの証券化は企業等が負っていた天候の変動による利益変動のリスクを資本市場で証券として売却することで投資家に移転しかつ投資家にとっては従来不可能だったリスクへの投資を可能にする機会を与えるのです。
このように証券化は資本市場に資金の流れの新たなチャネルを作り出しています。
金融市場の直接金融化の発展を支える基盤として証券化の手法はますますその重要性を増しているのです。
いまや原理としては一条件さえ整えばどのようなリスクであっても証券化できると思いたくなるのも無理からぬことです。
とはいえ個々の資産が抱えるリスクには個々の特性があり個々の証券化にはその特性に応じた取引を容易にするための工夫が必要です。
また対象資産のリスクの特性やキャッシュフローのあり方によっては証券化し易いものもあれば証券化し難いものもあります。
そこで次章以降本章で説明した証券化の基本的な仕組みを踏まえつつ具体例を通じて証券化を実行するための具体的な工夫を理解します。
証券化によってリスクがどのようにコントロールされ取引されるのか。
そのエッセンスは証券化の原点となった住宅ローンの証券化MBSやCMOに凝縮されています。
MBSとはモーゲージ担保証券と訳されます。
多くの個人向け住宅ローン債権をひとまとめに集めたプールを作りこのプールを対象資産として行う証券化です。
プールに含まれる住宅ローンの返済金の合計が発行される証券の支払いのための原資となります。
1970年初のMBSが米国の公的金融機関GNMA米国の政府系金融機関であるFNMA(通称ファニー・メイ)、FHLMC(通称フレデイーマック)も同様のMBSを発行しMBS市場は発展を続けました。
政府系金融機関が発行元となっているこのようなMBSは公的MBS(agencyMBS)と呼ばれます。
私的なMBS(non-agencyMBS)もありますがMBS市場の大部分はこのような公的MBSが占め、現在の米国におけるその市場規模は国債や社債の市場に匹敵する巨大なものとなっています。
公的MBSが主なものとなっている理由はMBSの発行がそもそも個人の住宅建設を支援するという社会政策的な目的を持っているためです。
住宅ローンの貸し手は当然貸付けのための資金を調達しなければなりません。
この資金調達が滞ると住宅ローンの貸付けも滞り住宅建設も滞ってしまいます。
しかし住宅ローン債権を証券化して売却できればその売却益をローンの貸し手の貸付け資金とすることができます。
MBSを発行することで住宅ローンの貸し手の資金調達を円滑にローンの供給を円滑にさせて住宅建設を促進する。
米国におけるMBS市場の発展にはこのような背景があるのです。
現在では複雑な構造の支払い金を持つ様々なMBSが作られるようになっていますがGNMAが発行した最初のMBSは対象資産のキャッシュフローをほぼそのまま証券化金融商品の支払い金とするパススルーでここではまずMBSの原型であるパススルーMBSの基本的な仕組みから理解しましょう。
証券化によって取引されるリスク全体の特性は対象資産のリスク特性で決定されます。
このため対象資産のリスク特性をいかにコントロールするかが証券化の成功の鍵を握ることになります。
住宅ローンの返済金を原資産とするMBSにとってこのリスク・コントロールの方法の一つは原資産とする住宅ローンの質を高めて信用リスクを減らすことです。
個々のローンの返済に外部の保証を取り付けた住宅ローンだけを受け付け受け取る返済金をより確実なものにする。
こういったことが米国の公的MBSでも実際に行われています。
しかしながら多くの場合保険は全額を保証ません。
よって返済金も確実にはなりません。
さらに個々の住宅ローンの返済には多くの雑多なリスクが関わります。
事故病気失業転居等ローンの債務者個人の様々な個別事情で返済金の遅延や不払い逆に早期の償還が行われてしまうからです。
外部からの分析が難しいこのような個別リスクのためもしも個々のローンをそのまま個々の証券として売り出したとしても売れる見込みはまずないでしょう。
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